映画『カウボーイ&エイリアン』終盤にかけてワクワク感に欠ける

良くも悪くもハリウッド大作映画だなーって感じだった。

基本的に、映像も、キャラクターもとりあえず悪くないと思う。がしかし、何かめっちゃ押したい部分があるかというと微妙。楽しく観られるけど、別に観た方がいいとは思わない。

ストーリーも「脚本すげぇ」と感心するほどでもないし、むしろツッコミどころが目につく。キャラクター間に友情が芽生えていく感じはちゃんと描けていると思うが、「この2人が視線を合わせるだけでもう感動する!」みたいな湧き上がる興奮はない。

この「西部劇にエイリアンが登場する」というアイデアの面白さと、かつ最低限キャラクターたちをカッコよく見せつつ、映像的にもちゃんと迫力を出しつつ、犠牲を出しながらも最後エイリアンを撃退しました、という話を一応ちゃんとやってた、という感じ。

そこがハリウッド大作っぽいなぁ、と思ったところ。う〜ん。そんなに大きな文句はないけど・・・、みたいな感想。

 

正直あまり期待していなかったんだけど、冒頭の映像を見て「おぅ、これはめっちゃ良いかもしれない」と期待値がかなり上がった。

ワイドな画面で、荒野をスーッと静かにパンしつつ、突然男が息も絶え絶えに起き上がり、それで、怪我してる、手になんか付いてる。「なんだろう?」と思うと、男も何か分からない様子で、とにかく石で叩いて外そうとしている。

ここの「なんだかよく分からない状況に放り込まれた」っていう、フィクションの世界にグッと引き寄せられる見せ方が凄く良かった。

その後、男3人が馬に乗りながら背後からにじり寄ってくる。為す術なく座り込んでいる主人公を正面から捉えつつ、わりと引いた絵で背後からパカパカと馬がゆっくり迫ってくる見せ方が抜群に良かった。「あ、面倒なことになりそうだな」という主人公の心境がよく現れていた。

ここで主人公が3人をバタバタ倒して服と馬を奪う。ここで主人公が只者ではないことがよく示されつつ、映画が始まる。

この緩急付いた冒頭の見せ方、凄い良かった。

 

その後のダラーハイド大佐の紹介なんかも的確で、乱暴だし恐いけど、性根が悪いヤツじゃないなっていうバランスをちゃんと描けてた。中盤でインディアンと同盟を組む辺りの、最初対話不可能かと思われたところから、エラの復活で輪になって協力を話し合う流れも良かった。

ダラーハイドと部下ナットとの関係も良かったし、ダラーハイドとジェイクのハードボイルドな関係も良かった。

キャラクター的に薄く感じたのはエラで、正直ストーリー的に必要だからいた、くらいにしか感じなかった。いやホント、ただ付いてきている謎の女でしかないからね。エラに関してのドラマは基本ない。だからジェイクが彼女の死を凄く嘆いているのはやや空々しく感じるし、最後の彼女の自己犠牲にそこまで感情を揺さぶられない。

彼女がなぜ最初から自分の正体を明かさなかったのかもよく分からない。

というのも、別に黙っている理由がないし、ジェイクに協力して欲しいなら、正体を明かした方が話を聞いてくれるに決まってる。特にジェイクに協力を拒否された後には、正体を明かす動機があるし、その後大勢の前で正体を明かした展開を見れば、正体を明かすことがエラにとって絶対に避けたい事態ではなかったという風に感じる。

だから、エラの沈黙は、ストーリー展開を引っ張るためのご都合主義になっていると思う。

 

そう、ご都合主義と言えば、序盤でジェイクが家(恋人の家?)に帰り、少しだけ過去を思い出すシーンがあるけど、あのシーンの挿入の唐突さはヒドイものがあると思う。

しかも1人で行動するのかと思ったら、そのあと結局ダラーハイドたちと合流しているし。あれだけ「ついてくるな!」ってエラに怒ってたくせに。

ジェイクが記憶を失っている、ということでストーリーを面白くしているんだけど、その設定は序盤こそ機能しているものの、それ以降はその謎解きが凄く乱暴というか、ストーリーに沿って必然的に思い出していくのではなくて、作り手が観客に情報を出したいタイミングでキャラクターが都合よく行動しているという感じが拭えない。

それで、最終的に記憶がどう戻るかと言えば、インディアンの長老が「記憶戻せっから!」ということで、それで本当に戻してしまう。

まあ、なんかインディアンの儀式的な演出で、それなりに説得力はあったので、僕はあの展開には一応納得しているけど、でもやっぱ脚本的な無理くり感は否めない。

「そろそろクライマックスだから思い出してちょ」という作り手側の都合しか感じない。

 

クライマックス、敵の基地も分かったし、インディアンとジェイクの元仲間たちも説得し、いざ出陣ということになる。このあたりの盛り上げ方はオーソドックスだけどまあ良かったと思う。

がしかし、エイリアンに勝つためにもうワンロジック欲しかったというか、なんかいろいろ作戦を考えてる風なわりに、結局基地から出てきたエイリアンたちと正面衝突で、あんまりインディアンとカウボーイが共闘しているという面白さも感じなかったし、とにかくまあ、みんなで頑張ってやっつけました、という展開。

せめて、こっちから奇襲を仕掛けるんだから、最初に大ダメージを与える何かをしてほしかった。一応ダイナマイトで先制攻撃しているんだけど、蜂の巣を突っついてしまったというぐらいにしか見えない。

もしくは最初苦戦しつつ、誰かがある弱点を見つけて一気に形勢逆転するとか。

エメットがナイフ一本でエイリアンを倒したのはそういう意味(敵の弱点)なのかと思ったら、全然そんなことはないし、エラに「エイリアンの眼は明るさに弱い」とか言わせつつ、その設定何も活かされてないし、何でそれ言ったんだろう。

 

こう感想を書いていたら、鑑賞直後よりこの映画に対する評価が下がっていくような気がする。

なんだろう。とりあえず絵的にはなかなか面白かったし、ダニエル・クレイグハリソン・フォードも渋くて良かったので、観ている楽しさは一応あった。

それからジェイクの一匹狼的な感じ、ダラーハイドのヤクザな大将な感じ、その他数合わせ的メンバーたちとの協力関係の築き方など、キャラクターとその関係性に良い感じの空気もある。

だからやっぱり、脚本的にずさんなところが多いのが残念なのかな。あとエイリアンの造形がカッコよくもないし、めちゃくちゃ気持ち悪くもないしで中途半端さもあったし。

なんだかんだ言って、西部劇の時代に高度な飛行物体が飛んでくるという絵は新鮮だった。そういう意味で、エイリアンが姿を表すまでの「なにが起こっているんだ!」という感じは良かったし、まあ、暇な時にテレビでやってたら観ればいい、ぐらいの映画ではないだろうか。