日常生活『楽天クーポン』お得のフェティシズム

このブログは一応、鑑賞後の記録が主旨なので、日常の雑記的なことまで書くのはさすがに内容を広げ過ぎかという気はするんだけど、他に書くところもないので、ちょっと書いてみる。

後々「やっぱ違うな」と思ったら、このカテゴリーは消すかもしれない。けどまあ、生活における「感想」ということで。

 

 

ちょっと前、楽天市場で腕時計を買おうとしていた。

そのメーカーの時計には前から注目していて、ネットで眺めてはいいなぁ、と思いつつも、2万円弱するので、僕の感覚ではポンとは買えず、しばらく悩んでいたんだけど、最近出たモデルが良かったので、買おうと決心した。

 

その時、これはまったく偶然なんだけど、1000円OFFクーポンが出ていて、ラッキーと思っていた。数日後、いざ使おうとしたら購入画面にクーポンが出てこない。それで配布ページに行ってみると、「先着分が使用されました」的なことが書いてあった。

僕としては、取得するのが先着であって、取得すればあとは期限内に使えばいいと思っていたのだけど、そうではなく、取得は無制限にできて使用が先着順、ということらしかった。

残念というか、苛立ちというか、「分かりにくいよ!」と思ったのだが、しかし、売る方の立場に立てば、使ってもらってなんぼなわけで、「もらえるものは一応もらっておこう」とクーポンを取得して結局使わない人が多くいた場合、これはプロモーションとしては効果が薄くなってしまうから、仕組み自体は合理的だとも思った。

ネット時代のクーポンの在り方としては自然だよなぁ、と思ったものの、やっぱり苛つく。300円くらいならまだしも、1000円は大きい。大きな魚を逃したような気分になる。

いやしかし、言ってしまえば、たかが1000円でもある。買い物に出かけて帰ってくる往復の電車賃でそれくらいになることは普通にある。1000円あれば確かに嬉しいが、でも嘆き悲しむほどの金額ではないと思っている。しかも手元にあったものを失くしたのではなくて、手に入るはずだったものが手に入らなかっただけなので、別にマイナスはない。

 

でもこの悲しみはなくならない。それは、なんでなんだろうと考えた。

それで思ったのは、「1000円」という金額以上に、そんな金額のクーポンはだいたい条件が厳しくて自分の欲しいものには使えないことが多い中、今回は、欲しいと思ってしばらく悩んでいた物を、ちょうど買おうとしたタイミングで、それに使えるそこそこ高額なクーポンが出ているという、この幸福な状況の方が、恐らくこの喪失感の大部分の原因で、別にお金の問題ではないのだと思う。

(なぜ僕は、必然よりも偶然による幸福(つまりラッキー)にそこまで重み付けをするのかとか、なぜ「すでに与えられたもの」ではなく「与えられるはずだったもの」に対して「失くした」という矛盾した感覚を持つのか、という論点もあると思うけれど、今回はそこじゃない。)

マルクスがお金自体に価値を感じることをフェティシズムだと批判したとかしてないとか。このクーポンやポイントに対する感情ってそれに近いものを感じる。しかも、その仮想的な「価値」にしたって、クーポンやポイントはお金に比べて実質大した額じゃないことが多い。

 

「お得」という現象には、実質的な金額以上の価値を人に感じさせるパワーがある。

まあ1000円は少し「お得」としては大きな金額かもしれないが、例えば、「ポイント5倍」のタイミングを逃したりすると、「じゃあ、次の5倍まで我慢しようか」という気分になる事は、僕はよくある。

もちろん、すぐ買う必要がなかったり、そこまで強く欲しいと感じていなければ「どうせならお得な時に買おう」と思うのも分かるが、「我慢」する価値がその「ポイント5倍」にあるのか、と考えると微妙。

例えば、5000円のもので、100円1ポイントなら、50の5倍だから、250ポイント、元の50ポイントは元々つくから、200ポイントの差。これは楽天市場では200円でしかない。いや、200円なら我慢なんかしなくていいんじゃないか、と普通に思う。

もし1万円だったとしても、元が100ポイントで500ポイント、差は400ポイント。3万円くらいになってくると、1200ポイントなので、たしかに結構お得かもしれない。

でも、僕が思うのは、この「お得を待つ」ということは、今すぐそれを使えないということでもあるし、ここで買っておけばそれで終わりにできたのに、また悩む時間を延長するということでもあるし、ポイントが5倍になるタイミングをいちいちチェックしなければならないということだ。だから意外と、時間や労力を無駄に使うことになってしまう感は否めず、日常の中の雑念がひとつ増えるということでもある。

そういう意味で、雑念や懸念事項をひとつ振り払う為に、もう、買いたいと思った瞬間に買ってしまうのが、実は一番低コストなのかもしれない。

 

「お得」なんていうのは、自分が買おうと思ったその瞬間にそうだったら良かったね、というぐらいの話であって、お得に向けて行動するのは、なにやら逆に損しているんじゃないか、という気がする。

いや、今回はまさに、買おうとしたその「瞬間」お得だったのに、次の瞬間、お得じゃなくなっていたから僕は悲しみに暮れているわけだが、まあ、1日前だろうが1月前だろうが、過去は過去。終わったものは終わったんだ。

 

 

 

それで、この話には後日談があって。

クーポンを逃したので、まあ急がなくていいし、実店舗で実物を見てから買おうという気持ちになった。

それで、恐らく往復電車賃1000円ほど(!)をかけて店舗へ行き、実物を見てみた。想像通りとても良くて気に入ったんだけど、実際に見てみると買おうと思っていたものより良い色を見つけて、そっちを買おうと決めた。その色自体はネットでも見ていたんだけど、写真で見るとあまり良くは見えなかった。

そういう意味で、まあ、クーポンを逃して店舗まで足を運んだことで、よりお気に入りの商品を選べたのだから結果的には良かった、と思う。

 

が、僕が本当にバカなのはここからで、そのまま見た店舗で買えばよかったのだけど、「楽天で買えばポイントつくしネットで買おう」と考えて、その場は何も買わず帰ってしまった。(本当にバカでしょう)

しかし、これが本当にナンテコッタっていうとこなんだけど、帰ってネットでその商品のページに行くと売り切れになっていた。元々買おうと思っていた色も考え直した方も両方。店舗にはあったのにー、と思ったが、まあ流通のことはよく分からないので、システム的にそうなっているんだろうと思う。

それで数日待ってみたのだが、全然再入荷される気配はないので、結局また店舗まで出かけて(1000円程かけて・・・)、買いました。

いや、もう次の機会を待てば良かったんだけど、ここまで来るとヤケだったというか、この負の連鎖を終わらせたかった。

店員さん曰く、最後の一個だったということで、ここでまた売り切れだった方が話としては面白いんだろうけど、僕としては本当に良かった。

それで結局、1000円OFFどころか、いくら余分にお金と時間を使ったんだろうということは計算しないようにしている。

こういう経験にお金と時間を払ったんだということにしておこう。