映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』後半ミュージックビデオだった

結論から言えば、僕はムリだった。

「なんだこのラノベみたいな映画は?」というのが鑑賞直後の感想だった。(いや面白いラノベもあるんだと思うけど。)

でもWikipediaを開くために、タイトルで検索をかけた時に感想ブログが出てきて、いつもは自分の感想を書いてから読むようにしているんだけど、魔が差してちょっと読んでみると、けっこう高評価で、「そんなアホな」と思い、ついつい3つ4つブログを読んでしまったんだけど、わりとどこも高評価だった。

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三角絞めさんも高評価だったので、これは多分僕の方が変なのかもしれないと思い始めた。が、まあ、やっぱり僕の感想としてはムリだった。

 

ラノベみたいと言ったのは、別に設定やらリアリティのせいではない。

終末があんなほのぼのしてるわけないとか、ほとんど邪魔が入らず都合よく助けが現れる道中とかは、個人的には気にならない。僕は設定や世界観には乗っかる方なので、これが作り手の見せたい空気なんだな、と思ってそこは見る。

そして、この設定下、主人公ドッジの心境に僕は共感する。僕も多分、終末にわいわい騒いだりしたくないと思うし、会ったこともない人間とどうでもいい事とかしたくない。別に暴力的なこともしたくないし、最後に自分にとって重要な人と過ごしたいという気持ちは納得できる。

そして、ヒロインのペニーも魅力的だと思った。まずイギリス訛りの時点でとりあえず300点なので、キャラクターとして申し分なし。あまり人間的深さは感じなかったけど、普通に可愛くて良い人だなって感じで、このくらいのトーンの映画だったら十分な描かれ方だったと思う。

設定や世界観も悪くない、キャラクターも悪くない、でも何故か退屈だったし、クライマックスにかけては、体ごと浮遊するんじゃないかってくらい歯の浮くような展開に疲弊した。

そして、凄く好きなスティーブ・カレル(彼目当てでこの映画観た)の表情が、初めてうざく感じた。なんだその優しいニンマリ顔は!と終盤ずっと思ってた。いや、実際終盤ずっとその顔してるから。

 

なんでこんなにもダメだったんだろうか。多くの人が評価しているっぽいから、きっと脚本がズタボロにダメっていうことはないんだろう。

ただ、まず展開がけっこう読めてしまったというのはある。ペニーと2人で旅に出た瞬間から、あのラストシーンは自明だったように思う。いや、もしかしたら「惑星の軌道がそれて」的なオチは考えたけど、でも真っ当に行けばそうなるわなってなオチだった。

あと、ドッジの行動には共感しつつも、元カノの女性が全然描かれないしドッジの口からもほぼ語られないので、ドッジの動機に対する強い共感はなかった。「最後に大切な人に会いたい」という一般的な考えには納得するんだけど、「どうしても彼女に」というドッジの個人的な感情には共感できなかった、という感じだろうか。だって彼女のこと知りようがないから。

もし観客の自分にもそういう人がいたら、それを重ね合わせて強く共感することができたのかもしれないが、僕にはいないので、「そんなもんかなぁ」というぐらいの気持ちでしか観られず、ストーリーを通してのドッジの感情の重さを感じることができなかった。

そして、ドッジの元カノに対する感情の重さを感じることができなかったからこそ、結局はペニーと恋に落ちるという展開にもパワーを感じなかったというか、「ま、そっちの方がいんじゃね」ってな感じだった。

つまり、ドッジの決断の重大さを感じられなかったし、その重大な決断をもたらした2人の愛みたいなものも結果的に重くは感じられなかった。

そういう感じで、全体的にストーリーの重量を感じることができなかったので、どうしても感動するとか、熱い気持ちになるとか、凄く共感して心を揺さぶられるとか、そういうことが全然なかった。

 

そういう軽い気持ちで映画を観進め、クライマックスの父と会うところのシーンを見ると、これはもうミュージックビデオにしか見えなくて、演出も「コマーシャルみたいで安っぽいなぁ」というのが僕の素直な感想である。歌詞の内容も映像とシンクロし過ぎててダサく感じた。

父とドッジが2人でハーモニカを吹いているシーンで正直笑ってしまったし、飛行機の中で眠っているペニーに愛の言葉を囁くのも、そこだけ音楽のヴォリュームが落ちてセリフを聞かせる演出も全て安っぽく感じた。いや、あそこはホントに何言ってるか分からなくてよかったんじゃないかと思った。

海辺から父の家のシーンまで全体的にファミリーカーのCMっぽかった。

 

で、それ以降も、とにかくドッジが「女性が男性から言われたい理想的なセリフ」っぽい言葉をばんばんペニーに浴びせていくわけだが、「なんか、露骨に女ウケを狙ってる感じでヤだなぁ」と思っていた。

ネットの安易な女性向け特集記事とかで見そうな感じのセリフ。「こういうのキュンキュンする」みたいなやつ。僕は別にキュンキュンしないし、白々しく感じた。

とにかく話を聞いてくれて、安心させてくれる年上男性との大人の恋的な感じか。なんか明確にターゲティングされている感じが寒かった。

 

いや、まあでも、中盤までのストーリーに乗れてたら、このクライマックスは清々しくて感動的に見えてたのかもしれないな。 う〜ん。これはもう合わなかったということなのかもしれない。

でも、さすがに父親が飛行機乗りだったのは、道中都合よくいくのは気にしないと言いつつ、さすがにご都合主義に感じた。

ヒッチハイクして乗った車のドライバーの件とか、途中で警察に捕まるのとか、終末にいろいろな気持ちで生きる人々を描いているのは分かるのだが、2人のストーリーとはほとんど関係なくないかっていう気もしてた。

なんか、別にそのシーンを抜いても、2人のストーリーって成立する気がする。だから、一応ストーリー的に入れときました、みたいな退屈さがあった。別にいいんだけど、ストーリーとして上手く噛み合ってはいないと思った。ペニーの元彼に会うのも直前のペニーのセリフで前フリし、父に会うのもハーモニカの文字が直前に前フリされただけで唐突に感じたし。

そんなこんなで、ここの展開がめっちゃ良かった、みたいなとこも個人的にあまりない。

 

響いてない作品について書いてても、どうでもいい細かい悪口を書いてしまうな。

とにかく、あんまり面白くなかった。